第3章 貴方と紡いだ夜の詩
『阿呆か俺は馬鹿だぞ。
お前が言ってる事の方が
正しいに決まってらぁ。』
「ふふ、死んだら地獄。だなんて
可愛いこと思ってたんじゃないの?」
『馬鹿だからな。お前となら生きてみたい。』
「生きるなんて有限よ、
死ぬこと事こそが永遠に続く快楽よ。」
『はっ、ロマンチストだねぇ…。』
本当は2人で生きてみたい。
この綺麗なやり取りを阿呆らしいと罵って
性の混沌を怠惰に認めて薄汚れた世の中で
当たり前の様に自堕落に生きてしまいたい。
「私は嘘つきだから。」
『良いんだよ、それがお前だ。』
貴重な美しさの何が良いのか。
それの意味も分からずに上辺を吐き続ける
そんな彼女はきっと誰よりも嘘つきだ。
「じゃあ、私を絶対否定しないのが優ね。」
『俺は唯の甲斐性なしさ。』
それを否定せず受け入れる彼は
きっと誰よりも綺麗な優しい人。
自虐交じりのそれでさえかっこよく聞こえるのは
それ程までに彼女が優しさを見抜くのが
上手だからなのだろう。