第13章 ヤナギ3(??前提トレイ)
「ハーブティーを淹れてやろう」
トレイさんは私を談話室に案内すると、そこの近くの給湯室のような部屋に入った。
(私の世界だと給湯室なんだけど、この世界だとキッチンみたいなものなのかな……)
と無駄なことを考えてしまった。
「ありがとうございます…あ、でもまだ夜じゃないですよね…?
大丈夫ですか…?」
「飲んじゃダメっていう規則ではないから」
そう言って大人っぽく笑われた。
2年離れているとやっぱりすごく大人に感じるなあと思いながら、大きなソファに座るように促される。
給湯室のオーブンからは甘い香りがする。
卵を使った…何だろうか…。
「酸っぱいのは平気か?」
「はい、好きです」
ハーブティーにいくつか野イチゴが投入される。
爽やかな香りに甘酸っぱさが追加されて、さっきまでお茶会で食べていたのにぎゅーっと小さくお腹が鳴った。
「す、すみません…」
「気を遣って疲れただろ、ここでゆっくり飲み食いしていきな」
「う…」
トレイさんには私の表情で緊張が筒抜けだったらしい。
出されたものをゆっくりといただく。
ふわふわのケーキに甘いクリームがたっぷりかかっていて美味しい。
流石プロ級の腕だなあなんて思いながら、目を細めて食べる。
「はぁ…美味しい…」
「それはよかった」
トレイさんも嬉しそうに笑う。
ナパージュされた果物が口の中で広がり、ハーブティーと香りがよく合う。
「顔色、良くなったな」
「はい!トレイさんのお陰です!
ありがとうございます!」