第13章 ヤナギ3(??前提トレイ)
午後のゆったりとした時間、ハーツラビュル寮のお茶会に誘われていた。
リドルさんのブロットをチェックして欲しいとのことだった。
いつもぴりぴりしている先輩は、実は少し苦手だったので、非常に困った依頼だった。
トレイさんとケイトさんが気を引いてくれている間に、なんとか魔法石の濁りを確認する。
人間界でいうとルビーのような、赤い強い光を放つ魔法石。
(とりあえず、大丈夫そうかな…)
ひやひやしながら確認して、とりあえず二人に合図を送る。
ケイトさんがにこっと笑って、おっけー!と合図を返してくれた。
とりあえずの任務完了に安堵する。
「リドル、庭園でエース達がまたなんかやらかしたらしいよ」
「何!?」
ケイトさんはリドルさんにそう言うと私の方にウィンクをしてくる。
見に行こう、と二人が退席したところで、お暇しようとこっそり会場を抜け出した。
他の寮は兎に角広く、ハーツラビュルは特に遠近感のなくなる家具やチェス柄の床やらが多くて、あっという間に迷子になる。
「あれ……こっちから来た気がしたんだけど…」
他の生徒に一人でいるところをなるべく見つかりたくない。
皆が皆、そうではないとわかっているけど、何度か単独行動で怖い目に遭った。
それを思い出すと、身震いしてしまう。
次の廊下を曲がろうと思ったところで、長身の見知った顔に出会った。
「と、トレイさん…!」
「やっぱり迷ってたな」
「よ、よかった……」
「顔、青いぞ?大丈夫か?」