第5章 クロユリ２(五条悟)

枕越しのくぐもった声を出すと、
「ダメ、ちゃんと聞かせて」
と子供に言い聞かせるように言われ、枕をはがされてしまった。
心細さにぎゅっとそのヒトの服を握る。
「いいねそういうの。そそる」

くちゅ、と粘着性のある水音と共に、生温い感触が身体を這う。
たまにひりひりと刺激を感じながらも、人間としての本能がそれらを欲しがっている。
下腹部が熱を持つと、じわりと足の付け根を伝った。
「はっ、あ…はぅ…」
声を聞かせて欲しいと言われたけれど、自分でもどう出しているのかわからない。
勝手に漏れていくそれをつい抑えようとしてしまって、吐息だけがただただ零れていく。
「ツラいねぇ、一回楽になろうねぇ」
「うぅ…ふ、う…」
ちゅっとついばむだけのキスをされると、足の付け根に吐息を感じる。
「だ、だめ…！」
脚を閉じて拒否をしようとすると、あっという間にそれを止められ、そこを柔らかなものが伝った。
「あぁぁ…っ！！」
一番敏感なその箇所に舌が這うと、考えたこともないような電流が走った。
「だ、だめです、おねが…や、やめ…！」
なんとかそこを退いて貰おうと身体を捩るが、がっちりと固定されていて動けない。
バチっと一際大きな閃光が指輪から出ていく。
「っ！」
先生がそれを受けたのか、小さくうめき声が聞こえた。
それでも私の弱いところへの刺激は止まらない。
歯を優しく立てられ、溢れてしまう熱をわざと音を立てて吸い、そして舌先で柔らかに押され、急に目の前がちかちかと白くなっていった。
「…！！！」
頭からつま先まで感じたことのない、電気が通るような瞬間、声すら出せずに息を無意識に止めた。
「ああ、かわいい声が聞きたかったなぁ」
残念そうに耳に囁かれて、まだ震えの止まらない身体がびくりと反応する。
今までこんな風に人の声にまで感じたことはなかった。
「ぁあ、せんせ…どうしよ…へ、変になってて…っ」
震える口をなんとか動かして、助けを求めようと手を必死に繋ぐ。
目が見えないせいで、相手の手の甲を探すのにすごく苦労した気がした。
やっと目的が果たせた時、安堵と共に、幸福感が満ちる。
指を絡めようとすると、それより早くそうしてくれる。
そして私の手の甲にもキスをされる。
「ずるいなぁ、それは」