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【短編集】倉庫【雑多】

第4章 クロユリ(五条悟)


「そんな大事だったのに思い出せないんだ?」
「ご、ごめんなさい…あの時期、すごくいろいろなことがあって…。
私も記憶がない部分が多いんです…」
「そう…」
身体がひくひくと震える、無意識に…。
早く離れて欲しいのに、私の手を変わらずにゆっくりと撫でられる。
指のそれを外そうとすると、また一瞬だけ光った。
「まあいっか」
そしてぱっと離れられ、火照った身体だけが残る。
「照れちゃった?可愛いねえ」
「ち…違います…!」
むっとしたけど正直反論が出来ない。

「兎に角、それ、結構危ない物だから。
近いうちに祓うか壊すか、しないとねえ…」
「いやです…!」
「ほう?」
「誰から貰ったか、覚えてないけど…すごく、大事な物だから…」
壊すと言われて、とても寂しくなった。
ずっと一緒にいたものをこんな形で壊したくないと。
「誰から貰ったか思い出してくれれば、なんとかなるかもしれないけどね。
呪いはかけたヒトが一番よくわかっているから」
「は、はい…尽力します…」
「貴重な時間をありがとう」
そう笑うと、部屋を静かに出て行った。

部屋がしんとしてから、私は漸く、自分がどういう状況なのか思い出した。
「わ、私…どうしたらいいの…!?」

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