第3章 ロベリア3(ダンデ)
前会った時から更に気まずくて、ずっと会っていなかった。
今日は久しぶりの試合で、油断して下手したのをばっちり見られていたようで、すぐにメッセージがきた。
「集中してない」
と短く書かれていた。
誰のせいだと思ってるの!?と大声で言いたかったのに、そこには傷付いた子たちしかいなくて、あまりに酷な言葉だと飲み込んだ。
落ち込んでいるのに輪をかけて記者たちに囲まれ、今日の試合について質問攻めされる。
顔が自然に歪むのを堪えて、なんとか、それに答えた。
相手が凄くよかった、私も精進する、とか、適当な言葉を見繕って、走って逃げた。
ほんとう、何もかも上手くいかない。
なにかと言われれば比べられる。
私は、彼じゃない。
「私、どうしてもダンデさんにはなれないんです…!
どうしたら、そうなれるんですか…?」
直接聞いて解決しないのなら、早々に負けて辞めてしまおうと思った。
怒られるかもしれない。
でももう、余裕なんてなかった。
「るるはるるだろう?」
真っ直ぐ、その金の瞳に言われる。
「お前はお前のチャンピオン像でいいんだ」
ぐらつく。
荷物が一気におりた感触。
誰かにずっと、そう言われたかった気がした。
私はずっと、完璧な、完全な、無敵な、その背中に成り済まそうとしていた。
体内の液体が沸騰する。
私を狂わせる。
留めなきゃ、と思う前に、それは、………。
「うっ……」
「おい!大丈夫か!!?」
言葉になる前に、体内を空にする活力として消えていった。