第2章 桜の木の下に…
「もう、一八さんは質問ばかりですねぇ
私達は桜の木と共に生きてますからぁ、桜が枯れたら引退したりぃ、別の桜に移動なんですぅ
叔母さまの木はまだまだ元気ですからぁ
それにぃ大老桜のお祖母さまは1500歳超えてますよぉ
因みにぃ、私はまだピッチピチの新人21歳で~す、えへっ♪」
「えへっ♪じゃねぇよ!
お前、それで21か?どう見ても高校生か、下手すりゃ中学生だぞ
それに、この桜は50年くらい経ってるって聞いたことがある、お前サバ読んでるだろ!」
俺はすかさず突っ込んだ。
「サバなんか読んでませんよぉ
去年までこの桜の精だった妙子姉さまは、第二種に昇進されたので別の桜に移られたんですぅ
今年から私がこの桜の精なんですよぉ」
「…はぁ…」
俺は溜め息と共に探究心を吐き捨てる。
桜の精自体が人間の理解を超えた存在なんだから理解しようとしても無理だと悟った。
「あぁ今日も桜が綺麗だ…」
俺は桜を仰ぎ見た。
そよ風が花びらを数枚舞わせる。
すると、その花びらの一枚が段々大きくなって女性の姿に変わっていった。
「うわぁ!」
俺は突然の事にびっくりしてベンチから転げ落ちた。
「響子叔母さまぁ♪
来てくれたんですねぇ!」
明日香がその女性に抱き着いた。
「お、叔母さま?姥桜の…?」俺の嫌~な予感は当たったようだ。