第8章 不死川実弥 □ 絵空事
□絵空事【不死川実弥】
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「実弥さんおじいちゃんみたい。」
「……るせェ、ほっとけよ。」
彼は縁側で_ボー。っと空を眺める時間が増えた。
「雲なんか見て面白い?」
「…特になんも見ちゃいねェよ。」
私が隣に腰をおろしてもその体制は変わらない。
「………平和だねぇ。」
「あァ、そうだなァ…。」
最後の戦いから1年の歳月が経った。
「ねぇねぇ、炭治郎君にお返事書かないの?」
「いっぺん書いただろ、テメェがうっせェから。」
平和ボケなんて言葉がこの人に当てはまる日が来るなんて、正直思ってもみなかった。
「皆、元気かなぁ?」
「おめェはそれしか言うことねェのかよ。」
随分と、時間がゆっくり進むようになったと思う。
「だってさ、賑やかだったから。」
「ケッ…煩ェだけだろ。ガキが…。」
「まーたそういう事を言う!!」
「事実だ。…それ以上でも以下でもねェさ。」
そういう彼はやたらと優しい顔をしているから、生き残った仲間達の事は嫌いでは無いのだと思う。