第8章 不死川実弥 □ 絵空事
「…なァ、もうそれ辞めねェか?」
「………え?」
「毎日毎日、何回確認すりゃ気が済むんだ。」
「……そうだよね、ごめん。」
「…………チッ…。」
だから、彼がいつかこれを重荷に感じるのでは無いかと心の底では少し不安だった。
「………俺も…お前がいっとう好きだ。」
強引に抱きすくめられてから_ポソッ。とそう呟いた彼はその体制のまま唸るように話し始めた。
「…自分の命が勿体ねェなんて、思いたくもねェのによォ……。お前と居ると…そう思っちまう。」
命の終わりが分かっている。そして時間は刻刻とそして精製粛々と無慈悲に過ぎ去っていく。
「………来世なんてなァ…っ…ねぇんだよ。」
「…あるよ。」
だから、絵空事でも信じていたいんだ。
「………また、嫌でも会うんだよ。」
「………アホンダラァ…。」
きっといつか、また出会ってまた恋をしてまたこうして身体を暖めあえるのだと。