第1章 はじまり
今日は姉弟の住んでいる町に雨が降り始めました。
「カミュー、今日はお外で遊べないね」
ミーシャは残念そうに前足で顔を撫でてます。
「お姉ちゃん、今日はボクが良い所に案内するよ
ついて来て!」
カミューは尻尾をピンと立てて歩き出しました。
「カミュー?どこ行くの?」
ミーシャは慌てて付いていきます。
カミューはあちこちの軒下や縁の下を器用に回り、雨に濡れないようにしながら、ある場所に着きました。
「ここだよ
ほら、雨が当たらないけど明るいでしょ」
「うわ~すごい!」
カミューがミーシャを連れて来たのは、町外れの廃工場でした。
屋根は明かり取りで半透明になっていて意外と明るく、二匹が遊ぶには十分な広さです。
二匹が遊んでいる内に雨は上がり、工場の中にも陽射しが差し込みました。