【鬼滅】硝子玉 。柱には師範が居たらしい。【逆ハー救済夢】
第3章 幼い風との武者修行
『なんとも言えねぇなぁ…。』
俺に何かしてられる訳でもないし、と
何となく気まずくて顔を逸らすと、
それを追いかける様にクルリと
目の前に回り込んで真っ直ぐ目を合わせる。
『だからね、近くに居てくれるだけで
私はとっても心強いの!!』
実弥が居るから私、今楽しいし。
不安なんてどっか行っちゃいそうっ!!
と、満面の笑みで言うに、
実弥は呆然と立ち尽くす。
その笑顔がまるで希望の光のように見えて
何故か心臓がバクバクと煩く鳴り響く。
「(……こんなの知らねぇ。)」
『…さねみん?』
「(こんなに綺麗に笑う奴を。
………俺は知らねぇ。)」
『…どうしたの??』
ハッと我に返ると、
自分を覗き込むタレ目がちな黒目と
目が合い、またバクバクと心臓が鳴る。
それに耐えきれず、の
肩を押して顔を遠ざけた。
「お前、もう少し自分を自覚しろ。////」
『…強い自覚はそれなりにはある!』
けど不安なのは別物なんだよーっ!!
と騒ぐには、何も伝わらないことを悟り
実弥は深いため息をつくのだった。
「そうじゃねぇんだよなァ。」
『不安なものは不安なの!』
スタスタと、歩いて行ってしまう実弥を
急いで追いかける。
その顔はほんの少し沈んでいる。
『(こんな強い女が不安とか
気持ち悪かったかなぁ……。)』
月明かりしかない夜の山では
赤く染った実弥の耳たぶまでは残念ながら
見えないのだろう。
「(ガキに、見惚れるとか有り得ねぇ。)」
『(けど、不機嫌な顔もいいな。)』
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鬼狩りを一段落つけ仮宿に帰った2人は
明け方、寺の床でごろりと横に寝転がり
ポツリポツリと喋っていた。
「俺、お前より絶対に強くなる。」
『私は、私になら背中を預けられるっ
て思う位さねみんと仲良くなるっ!!!』
「それは俺と一緒に居るってことかァ?」
『一緒に居たいって思って貰えるように
頑張る!!だめかなぁ?』
「あーいや。ダメじゃねぇんだが。
(それは既に思ってるというか。)
なんかちょっとズレてんだよなァ、お前。」
『実弥はよく分かんないなぁ…。』
「俺もお前がよく分からねぇよ。」
動きが良くなっていた理由に2人が気付くのは
まだまだ先になりそうだ。