第1章 交わりと時雨【キラ *】
「き………キラッ! もぅ………駄目ぇ!」
正面を、後ろ背を。男の手が舌が這い回る。
「まだ足りない………もっと、キミを頂戴」
ちゅ、ちゅる、と唇がたどっていく。
さらさらと髪が肌をかすめる感触にとまどう間もなく
捏ねて、吸い上げ、舐めて。
「ぁ………あっ、ひ、んんんっ」
いちいち過敏に反応する彼女が愛しくてたまらなかった。
「ねぇ………キミからオレに触れてよ」
その手を取り、そっと自分の象徴をにぎらせる。
「わかる?
キミが欲しくてたまらないって………オレももうこんなになってるんだ。
オレの顔またいで、ゆっくり手を上下に動かして」
耳をかすめる声。
(キラにも、気持ちよくなって欲しい………。)
そっと動かすと、吐息が零れおちた。
「はぁ………律花」
その声は艶めいていて、女の彼女でも煽られる。
「ああぁっ」
戯れに花芽をすり上げ、驚いて手が止まった。
「手が止まってるよ」
「き、キラ………私、」
「逝きたい? 駄目だよ、一緒じゃなきゃ」
海色の瞳が嗜虐心を映す。
(意地悪………でも離れられない)
唇をかみしめ、艶音を抑えようとする姿がいじらしかった。
(こらえようとしてるのが、余計オレを昂らせるだけだって知らないの)
本心を喉の奥で殺し、内側を探る。
唇で吸い上げ、軽く歯を立てて。
「ああああっ」
「くっ………!」
同時に果てたふたり。
弛緩した身体を引き寄せ、耳をかすめた。