第3章 甘くて苦い
翔「智くんご飯準備できてるよ、」
智「ありがと…」
漏れそうになる声を押し殺して出した精液の痕跡が残らないようにシャワーで念入りに流して。罪悪感でいっぱいになりながらお風呂場を出ると翔くんがご飯の準備をしてくれていた。
今日のご飯はロールキャベツにもやしのナムル。翔くんちに炊飯器があるのでご飯もちゃんと炊きたてだし、凝った料理も作れるようになった。
翔「ん、うまい!!智くん本当に料理上手だね!」
智「ありがと…」
俺が作った料理を美味しそうに食べてくれる翔くん。歌もダンスも踊れてイケメンで、ちょっとおっちょこちょいだけど優しくて努力家で何時も俺を優しく抱きしめてくれる翔くん。
翔くんの事考えながらシてしまった事に物凄い罪悪感を覚えた。だって、もし俺が貴方の事考えてこんな事してましたって知ったら普通は気持ち悪いって思うでしょう?
翔「智くん、?」
智「あ、ごめん…」
翔くんと目が合わせられなくて下の方を向いてしまう。20年間ずっと隣で支えてくれた翔くんの事大切だって思ってるのに、じゃあ、なんで、俺は翔くんであんな事考えてしまったんだろうって、自分の気持ちが整理できない。
翔「智くん、…さっきはごめんね、やっぱり男同士で身体触られるのとか嫌だった、?」
俺の様子がおかしいって気づいた翔くんが謝ってくれる。違うよ、誘ったのはおいらの方なのに。翔くんは何も悪くないのに。
智「いやじゃない…」
翔「本当に?でもごめんね、ちょっとでも気分を害したんだったら、」
智「だからやじゃないって!!翔くんは何も悪くないから謝らないでよ!!!」
ああ、なんで俺はこんなに怒ってるんだろう。翔くんは何も悪くないのに。悪いのは全部おいらなのに…。
智「ウッ…ごめ、なさっ…」
自分の気持ちが整理できなくて涙が溢れてくる。ごめんなさいって謝る事しか出来なくて。翔くんの「智くんは悪くないよ」って優しい言葉が今はとても痛く感じた。