第2章 君色に染まらせて
智くんがキャンパスを持って戻ってくる。真四角のキャンパスはピンクの桜の花弁で埋め尽くされていてとても綺麗だった。
翔「これを俺に…?」
智「うん。翔くんちで描いていいよって言われてから少しずつ描いてたんだ。桜は翔くんの色だから…。それにずっとカッコいい翔くんと、何百年も綺麗な花を咲かせ続ける桜って翔くんにピッタリだろ?」
良かったら貰ってくれるといいんだけどって不安げに俺を見つめる智くんの手を取って俺は興奮気味にお礼を言った。
翔「ありがとう!!本当に嬉しい…。俺、智くんの絵が大好きなんだ。だから、俺をイメージで描いてくれたなんて嬉しすぎて…。大切にするよ!家に飾って毎日眺める、!!」
智「んふふ、ありがとう。翔くんが喜んでくれてよかった。」
俺、智くんに甘えて助けてもらってばっかりだ。貰ってばっかりで、何かお礼がしたいと言うとそんな事ないよって智くんが言った。
智「俺ね、翔くんと夜ご飯食べるようになる前は正直凄い寂しかったんだ。アイドルお休みして好きな事やりたいって言ったのは俺なのにね…。自由だけど孤独だって気付いたんだ。」
翔「智くん…」
智「だけど今は翔くんに毎日会えるから全然寂しくないよ。何時も俺の作ったご飯美味しそうに食べてくれてありがとう。翔くんが迷惑してなければこれからも翔くんに会いに行きたいな…」
智くんも俺の事必要としてくれてたのが嬉しかった。俺ばっかり求めて迷惑かけてるかもしれないって思ってたから…。
翔「迷惑なんて一度も思った事ない。俺に会いたいって思ってくれて凄え嬉しい。あのさ、智くん…。よかったら会いに来ないで俺んちで暮らしなよ…部屋、広すぎて持て余してるし…。それに、家に帰る智くんを見送るのが寂しかった。ずっと俺の側に居ればいいのにって」
中々反応が帰って来ないから不安になって智くんを見ると、顔を真っ赤にして俺を見つめてた。
智くんは俺の事どう思ってるんだろう?智くんも俺の事同じ様に求めてくれてたりするのかな…。
貴方の事、独り占めしたい。
ずっと俺の側に居て欲しい。
吸い寄せられるように自然と距離が近くなって、息がかかるくらい顔が近くなる。抵抗されたらどうしようって思ったけど、智くんは頬を赤く染めるだけで抵抗する様子は全然無くて。
智くんの瞳がゆっくりと閉じられていく。
俺は智くんにキスをした。