第13章 霞柱様の継子は私だっ!1 時透無一郎
私は見習い隊士だ。
三年前家族を目の前で鬼に殺された。
私みたいに大切な者達が悲しまないよう、憎悪を糧に日々訓練に没頭していた。
そんなある日、鎹鴉から伝令を受けた。
今日は柱であらせられる霞柱様と合同任務だ。
足を引っ張らないようにしなければと、集合時間まで日輪刀を振り続けた。
『っ…はぁ…はぁ』
息が続かない。
これでは駄目なんだ。
もっと、体力をつけて俊敏な動きをしないと下弦どころか上弦を倒すなんてもっての他。
家族を殺した鬼の特徴は覚えてる。瞳に上弦弐と文字が入っていた。
母は食べられ、父は頭と体が真っ二つになっていた。
あの凄惨な場面が切り取られ、今にも夢となって私を苦しめる。
『っ…もっと、もっと…強くならないとっ!』
「…そんな振り方じゃ駄目」
『っ?!』
突然聞こえた声。
驚いて振り向くといつの間にか、霞柱様は後ろに立っていた。
「集合時間何時だと思ってるの?柱である僕を待たせるなんて、いい度胸だね」
『大変申し訳ございませんっ!!
時間を忘れた挙げ句霞柱様をお待たせしたこと…深くお詫び申し上げますっ!!』
柱と対面するのは今日が初めてで、先輩からも柱は怖いと教えられてきた。
私の首飛ぶと最悪の事態が頭を過った私は、何度も何度も地に頭をつけ謝る。
「…こんなところで話してても時間の無駄
…行くよ」
『はい!!』