第1章 *伝えたかった想いと叶わぬ願い 時透無一郎
迂闊だった。血を見ればあのときの事を思い出すなんてわかりきっていたはずなのに。
意識を失ったを横抱きににし寝室へと足を進める。
既に敷かれていた布団に寝かせ、その隣で僕も横になる。
明日になったらちゃんと話合わなければ…。
まぶたを閉じれば脳裏に浮かぶのは幼い頃の僕ら。
あの時が1番輝いていたな…なんてがらにもなく思ったり。
の体温がとても心地いい。
規則正しい呼吸音はひどく安心する。
その音を子守唄がわりに意識を手放した。
目が覚めればいつのまにかは居なくて。
一緒に寝ていた筈なのに気づかなかった。
大きな欠伸をひとつして、上体を伸ばす。
朝だと言うのに、やけに静かだ。
この時間なら朝食を作る音が聞こえてもいいのに
音も匂いもしない。
何故だか嫌な予感がする。
直感的にヤバイと感じた僕は日輪刀を腰に携え家の中探すもの姿はどこにも居なかった。
ただ、テーブルの上にぽつんと手紙が置いてあっただけ。