第38章 可愛いあの子 時透無一郎
『…凄い、人混みだったね…』
甘味処へとついたと無一郎は、それぞれ大福と御手洗団子を頼んで一息ついた。
隣に座る無一郎は先程からをみては何か考えているようだ。
それに気づいたはどうしたの?と問う。
「僕…男です」
『……へ?』
「僕、むいという名前じゃなくて無一郎っていいます」
『…え?あ、ご、ごめん!!ずっと女の子だと勘違いしてた…』
両手を重ね合わせ、頭を下げて謝る。
無一郎はそんなを見てくすりと笑う。
無一郎の笑う顔は見るのが初めてなは
顔を上げれば
とても綺麗に笑っていた。
「僕、ずっと女の子だと思われて悲しかったです」
『…うっ…ごめんなさい』
「男だと認識してくれたのなら…僕にまだチャンスはありますよね?」
『…ぇ?っ…』
つい見惚れていたを追い討ちをかけるように無一郎は口を開いた。
そして、無一郎の問いに返事をしようとしたは一瞬の出来事に対処できずフリーズをしてしまう。
「僕…まだ、この感情がなんなのかわからないんですけど…さんのこと頭から離れられない、ずっと一緒に居たいです」
『あ、え…』
戸惑うに無一郎は唇をそっと重ね合わせると、自分の気持ちを告白した。
「すぐに忘れちゃうけど…きっとこの気持ちだけは忘れないような気がします…」
『無一郎君…』
無一郎の瞳は、まだ霞んでいるけれど、無一郎はほんのすこし男の顔をしていた。
胸の内にひっそりと、咲いた相手を想う感情。
今まで女の子だと思って接していたけど、実は男の子で。
子供だと思っていたら、立派な男の人になっていたわけで。
『私も…いつのまにか…いや、きっと最初から好きになってたみたいだな』
は無一郎の手をとって、優しく笑う。
不思議そうに見つめる、無一郎には告白の返事をした。
『記憶を取り戻して、まだその感情を持っていたら是非一緒になってほしいな』
本当に繋がるのはそう遠くはない未来の話。
今まだ師弟のままで。