第38章 可愛いあの子 時透無一郎
「よく来てくれたね…」
心地よく響く産屋敷の声にと呼ばれた少女は嬉しそうににこりと微笑んだ。
『お館様にお呼ばれたとなれば例えどんな場所に居ようと向かう所存です』
「任務明けだというのにすまないね…けれど、にしか頼めない大切な用事なんだよ」
は産屋敷の言葉に疑問をかんじ首を傾げる。
すると産屋敷は閉じられた襖に顔を向けこっちへおいでと襖の奥にいる誰かへと手招きをした。
穏やかな声に誘われるように襖が開き見知らぬ子供が一礼してお座敷にあがると産屋敷の隣に立った。
「… 火の呼吸の使い手…前に話したのを覚えているかい?この子はその子孫でに面倒を見てもらおうと思ってる」
自己紹介をと先を促す産屋敷にこくりと頷いて1歩前に出る長髪の子供。
中性的な顔立ちで大きな浅葱色の瞳はを見ているようで見ていない。
茫洋とした瞳は何を映してるのだろうか。
『(とても綺麗な子…)はじめまして、私は#NAME2#
これからよろしくね?』
「……あ、よろしくお願いいたします…僕の名前は…時透…むい…『むいちゃんね!私の事は好きに呼んでくれて構わないから!あ、お館様今回の任務のご報告がありますのでこのあとお時間を頂いてもよろしいでしょうか?』
自己紹介の途中で遮られ、はそのまま勘違いしたまま少年を置いて産屋敷と一緒に別室に移動した。
「……ま、いっか」