第37章 真心込めて作ります時透無一郎
冷たい空気も和らぎ少しずつ暖かくなっていく3月。
あと数日たてば冬から春へと交代する。
過ごしやすい春の訪れはもうすぐそこだ。
本日は14日。
世間では男性が女性にお返しのスイーツを送るスペシャルイベントだ。
時柱のはイベント事が大好きなので、先月のバレンタインチョコを霞柱の時透無一郎に無論渡していた。
そして、先程も述べたが今日はお返しの日だ。
は無一郎からのお返しを心のそこから楽しみで仕方がない様子。
玄関の引き戸を開ければ
積み重なった大量の箱が行く手を阻む。
『えっえっ?』
何事かと困惑するも積み重なった一番上の箱を手にとって中を確認すれば、丸くて色とりどりな甘いものが。
『うわぁ!キャンディーだぁ!』
他の箱を明けてみれば多種多様な甘いものが置いてありありえない状況でも自然と顔が綻んだ。
どれも常温に置いても問題ない物ばかりで、中にはメッセージが添えられていた。
『えっと…僕の想いを受け取ってください…甘いものは受け取れるけど…気持ちはごめんなさいね』
キャンディーを口に含みながらメッセージカードを箱に戻す。
差出人不明なプレゼントを取りあえずと家の中に閉まってその中の物を数点手に取り外に出る。
すると数歩道を歩くだけで主に鬼殺隊の隊士からプレゼントを渡される。
どれも美味しそうな物ばかりだ。
お礼をいいながら歩けばいつのまにか両手に抱えきれないほどの大荷物になってしまった。
『…こんなに、食べきれるかな…あ、そうだ蜜璃ちゃんと食べようかな?』
流石に甘いものが好きで有名なも大量にもらった甘味を一人で食べきれるわけがない。
そう思ったは同じく食べるのが大好きな甘露寺の家に向かおうと踵を返した。
『っ…前が見づらいなぁ』
落とさないように注意を払って歩くも前方がプレゼントで塞がっているため歩きにくい。人にぶつからないようにゆっくりと歩いていたが、誰かにとんとぶつかりすこしよろめく。