第35章 疑惑 時透○一郎
「の我が儘に付き合えるのは僕だよ」
無一郎は私の頭を撫でて、幼子に言うように優しく囁く。
『…どうしてっ!…私は有一郎の彼女なんだよ…?なんで…記憶を失くした私を騙したの…』
「…でも、別れたんでしょ?ほら、僕は兄さんと双子なんだよ?なら、僕でいいでしょ?」
そう言って、眉根を吊り上げ、
無愛想な顔をした無一郎はまるで悪魔のように私に囁いた。
「俺はと一緒にいたい…俺を愛して?」
有一郎のような口ぶりで話す無一郎。
彼に瓜二つな、目の前の彼は
妖しく笑うと、徐々に顔を近づけてはやがて私の唇と彼の唇を重ね合わせた。
まるで悪魔の契約のように何度も重ね合わせる口づけ。
ぼやけつつある霞んだ思考では最早、目の前にいる人の識別がつかなかった。
私の目の前にいるのは…誰?
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有一郎君は最期まで夢主ちゃんを愛していました