第4章 紙飛行機の届く先へ 時透無一郎
目を開ければ銀杏が可憐に舞う中、兄さんが迎えに来てくれた。
認めてくれた兄さん。とても嬉しかった。
僕は幸せになるために生まれてきたんだ。
抱き締めた体を離せばいつのまにか手にはあのとき書いた紙飛行機が。
「…頑張ったね」
「っ…っ…」
「ずっと見守ってたよ…有一郎と」
紙飛行機を見てるとふいに聞こえた懐かしい声。
会いたかった温かい声。
謝りたかった、その優しさに。
は今まで僕が書いて飛ばした色とりどりの紙飛行機を両手に抱えて、大きな瞳から一粒一粒ととても綺麗な涙を流して地面を濡らした。
やっと届いた紙飛行機。
彼女を力強く抱き締めば紙飛行機が銀杏と混ざる。
抱き締めた反動で抱えてた紙飛行機は飛び散りまるで僕らを祝福するかのように頭上で舞う。
やっと伝えられるこの想い。
また兄さんと父さん母さん、そしてと穏やかな日々を過ごせる。
あのとき守れなくてごめんね、大好きだよ
そう伝えれば、
私は貴方と会えて、共に過ごせて幸せだった。
彼女はそう言うと
涙で濡れた顔で太陽のように温かく笑ったのだった。