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鬼滅の刃 戯れ事 (短編)

第31章 *雁字搦めの蜘蛛の糸(時透無一郎)


自分のものにした後、私を鎖に繋いでそして何日も何週間も何ヵ月も……彼は帰ってこなかった。
自由を奪われた私は、食べるものも飲み水も底をつきやがて栄養失調つまりは餓死でこの世を去ったのを思い出す。

『時透様は私の自由を奪い…あまつさえ今世でも同じことをするおつもりですか…っ』

「あ……君、頭が弱いからもう忘れてるかと思って上書きしようしたけど……覚えてたんだね」



まだ鬼が存在し、この世を脅かしていたあの頃。
時透様は鬼殺隊、それも位の高い柱を勤めていた。
私はそんな彼の世話役だった。
彼は記憶障害を患っていて、その彼の面倒を見るただそれだけの関係。
何人かいた世話役から歳が近いこともあり、一緒に居た時間は他の人より多かったと思う。

ある日、時透君に呼び出され薄暗い部屋に招かれた後私の自由を奪った思い出したくない前世の記憶がまるで昨日の事かのように鮮明に脳裏を過る。
一気にくる情報の処理に脳が追いつかない。
目蓋を閉じれば明暗する白い光が
昔の彼と今の彼を重ね合わせた。


「なら、話が早いや…あの時伝えられなかった思いも、懐かしい感触も全て君に伝えたかったから」


『やめてくださいっ……』

シュルリとスカーフリボンを外し、残りのボタンを全て外した時透様は嬉しそうにブラウスのボタンも外し始めた。

「僕が死んで、辛い思いをさせてごめんね…やっぱり君を殺しておくべきだったんだ」

あ、今は殺すつもりはないから安心してとへらりと笑う彼に身の毛がよだった。

最後のボタンを外し終えると、中から見える淡い色をしたブラジャーをたくしあげるとぶるりと形のよい白い二つの丘が顔を覗かせる。
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