第28章 *子は鎹 時透無一郎
「パパーどうしてママはいつも悲しそうなお顔をしているの?」
「かすみにそう言われたんだけど、駄目だよ?笑顔でいなくちゃ」
『申し訳ございません…時透様っ』
ある昼下がり、ぱしんと頬を打つ乾いた音と、物にぶつかる鈍い音が広い屋敷の中で聞こえた。
赤く腫れじんじんと痛みが走る頬を押さえてる女の前に立ちはだかるのは、この屋敷の主時透無一郎だ。
「…何度言ったらわかるの?君ももう時透なんだよ?名前で呼ばなきゃ駄目でしょ」
『っ…』
ほら、名前と…女の顔をじっと見て急かすように口を開けば
女は震えた唇で無一郎と名をか細い声を発した。
女は無理矢理嫁がされ、霞柱の子を宿しこうして今も見えない鎖に繋がれていた。
子供が出来てからも、霞柱の束縛は酷くなる一方で
子供にも薄々気づかれていた。
この家族がおかしいことに。
「…もう一度子を宿せば自分が母親だって自覚する?」
『っ…申し訳ございませんっ…もう私…ちゃんと役目を果たせますので…子供はっ…』
「……後何人必要かな」
そう無一郎が呟けば、力強くを組み敷いた。
困惑するに気にもとめず、組み敷いた事により乱れた着衣の隙間から手を差し入れ柔らかい双丘へと伸ばされる。