第27章 孤独を選んだ君へ 時透無一郎
だらんと力なく横たわる彼女を
僕は強く抱き締める。
トクントクンと動く心の臓を心地よく感じながらくっきりと青く色づいた痕にさえ、僕のものだとうっとりとしてしまう。
痣に被せるように、鈍色に光る首枷を彼女に嵌めれば
これでは僕から離れることができない。
「兄さんはね…本当は君に別れを告げてないんだよ
それを見抜けなかった君は一等可哀想…でも安心して?僕が最後まで可愛がってあげるから」
兄さんに初めて嘘をついた。
彼女が不特定多数の人と関係を持ってるって。
合成写真を兄さんに渡せば、少し潔癖の有一郎は直ぐ様、眉間に皺を寄せ汚いものを見るような目で渡した写真を破り捨てた。
兄さんは幼馴染の彼女より僕の嘘を選んだのだ。
大事な彼女でもあるより血をわけた僕の事を。
「僕の為に関係を切った君は、誰からも相手にされない
孤独な君は誰も心配してくれない」
でもいいよね?
僕がいるから。
僕だけがいればいいのだから。
君の目が覚めたら、甘やかしてあげよう。
には俺しかいないのだから。