第20章 *パンドラの箱に残された物 時透無一郎
『っ…あァァはぁっ…んんんっ?!ぁっ…』
唇は閉じることが出来ず、汚い喘ぎが密室の中で響く。
電子音がもう聞こえない程、鳴く私に容赦ない攻めが高みへと導いていく。
『あっ…あんぅ…あっァ…ァア…はァァっ?!!アァあァァアっ!!!』
「…残念だったね残り2分で…僕の勝ち」
プシャァァアと潮を吹き、床を濡らす。
視界を遮る布を外されれば、
先生のハンカチを手に持ち勝ち誇った笑みを向ける無一郎君と顔を赤くした先生がこちらを見ていた。
『せ、先生っ…』
「…」
「約束通り、の事は諦めてね?じゃないと先生、これからの人生悲惨で窮屈になるよ?」
絶望する先生に無一郎君はわかったなら、さっさと出ていって冷たく告げた。
先生はすまないと小さく言葉だけを残し足早に去っていく。私を置いて。
『先生…』
「そんなもんだったんだよ、への気持ちは」
涙を流す私に慰めるように肩を抱き、私に覆い被さる無一郎君。
重力でイスはかたりと転がり冷たい床に私を押し倒した。
全てがどうでもよくなった。
今までの先生への気持ちも。
これからの無一郎君との出来事も。
事実から私の思考はシャットダウンして私の身体に馬乗りになりすべてを食いつかんと貪る彼に
光の灯さない瞳でやり過ごし、
ぽっかりと空いた虚しい穴を埋めるため淫らに喘ぐのだった。