第15章 夢見心地のお姫様 時透無一郎
童話の中のお姫様は必ず王子様がいて、誰からも愛される。
そして、ハッピーエンドは確約されるもの。
きっと私が童話の中に出るとしたら意地悪な魔女なのだろう。
そんな魔女には愛すること愛されることなんてしらずにふてぶてしく生きて、お姫様を困らせるだけ。
夕暮れ時の放課後、夕日が教室を赤く染める。
誰もいなくなった教室には男女が二人対面してて、女の子は胸に秘めた甘い気持ちを精一杯男の子に告げていた。
グラウンドから聞こえる部活に励んでる人達の声等今の二人には届かない程二人を包む空間は別次元のようだった。
女の子はこのクラスで1番可愛いと男子達から人気の女の子で。
男の子は同じ里芋組で私の想い人である時透無一郎。
ただのクラスメイト。
何の接点もない二人は赤の他人で。
時透君への気持ちは募るばかりで…
なのに、ちゃんと意思表示出来ないでいる。
そして、モタモタしたから先に越されてしまったわけ。
酷く滑稽な話だ。
そして、すこぶる運の悪さに思わず笑いが込み上げそうだった。
忘れ物を取りに行かなければ、知らなかったのに。
いつか、知ることになってしまったとしても直面するよりかはまだまし。
神様も酷いものだと、悪態つく。
二人は私の存在に気づいておらず
話が進む。
時透君が口を動かせば女の子は喜んでいた。