第13章 霞柱様の継子は私だっ!1 時透無一郎
「…、僕ね…記憶取り戻したよ」
『無一郎様…』
「だから、この感情も何かを知ってる
初めての感情だけど、きっと恋する気持ち…僕は君に恋してるみたい」
続けて好きだと言われ体を少し離すとこちらを見つめる無一郎様。
返事を待っているのだ。
私の中では既に返事は決まってて。
『私もですっ…これからもずっとお慕い申しております』
引き寄せられるようにされた口吸い。
そして、絡み合う指先。
これ以上は無理はさせられないと、唇にキスをすると無一郎様は私の考えを読み取ってか横になり数秒後にはすーすーと寝息をたてた。
『っ…』
「おはよう…」
『っ?おはようございます…?!』
翌朝、いつのまにかベッドの隣にある備えつけのイスに座り
上体はそのまま布団にもたれ掛かって眠りについていた。
無一郎様の声で起きれば、上体を起こして伸びをする無一郎様がこちらを優しく見つめていた。
『お体はもう大丈夫なのですか?!』
「うん、大丈夫…早く任務に復帰しないと」
無一郎様はベッドから降りると
体を軽く動かした。
驚いた。まだ怪我してから2日、3日しか経っていないのに…凄い生命力だ。
「…、任務が終わったらそのまま柱合会議があるだろうから、そんなに一緒にはいられないけど…」
『大丈夫ですっ…気持ちが繋がっただけでも私は満足でございます…それに、無一郎様にお会いできない分、会えたときの嬉しさはきっと百倍です
無一郎様のお帰りを心よりお待ちしております』
嘘だ。会えない時間はそれでも寂しいもので。それでも本音を言えないのは柱である無一郎様は忙しい身。私の我儘で困らせてはいけないと笑顔を繕う。
そんな私に無一郎様は微笑むと
無一郎の温もりに包まれたのだ。
「早く終わらせるからね」
『はいっ…』
そして、まだ傷も完全に癒えぬまま無一郎様は任務に向かうのだった。