第1章 時の流れ
殺風景な村だった。まだ正午を少し回ったくらいだというのに、人がほとんどいない。
ちらほら人がいるも皆ふらついてたり、痩せ細ってて覇気を全く感じさせなかった。
「碧天ちゃん…気づいた?」
『ええ…女、子供…見当たらないわね』
碧天と甘露寺は村を一通り回るもやはり子供はおろか女性さえ見つからなかった。
情報を求め色んな人に声かけるも
それぞれが怯えた眼差を向け逃げたり、隠れてしまうので、有力な手がかりは一切手に入らなかった。
『どうしよっか…?鬼の気配もしないし…この村であってるのよね…?』
「ええ…ここで間違いないわっ!…でも、どこにいるのかしら…」
鎹鴉によれば昨夜もこの村は襲われたらしい…
碧天達より前に向かった鬼殺隊も見つからない。殺されたとしても痕跡が何一つ残されていなかった。
『…おかしいわね…隠れてるのかな』
「…そうよ!それだわ!!(流石碧天ちゃん!!とても頼もしいわ!)…きっと、鬼に見つからないよう隠れてるんだわ!!」
それなら…と二手に別れて鬼を待ち伏せしようという碧天の提案に二人は別行動をすることにした。
『……嫌な気配はするんだけどな…』
甘露寺と別れてさっさと歩を進める碧天。
嫌な気配はびしびしと痛いくらいに肌を刺激するのに、その原因が突き止められない。
まだ日も明るいことから、鬼は暗闇の場所へ身を潜めて今夜のターゲットを見定めているのかもしれない。
また新たな犠牲者が出る前になんとかしないと…。
握る手に自然と力が込められる。
鬼は憎むべき存在。大切な人を傷つけた、大切な人を奪った。これ以上鬼の好き勝手なんかさせない。
任務の度に思う。
鬼を斬る度に募る怒り。
『……早く終わらせなければ』
駆け足でその場を離れた。
どんよりとした嫌な気配がもっともする場所へ。