第1章 時の流れ
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『今日も無一郎に何もなくて良かった』
「…本当のコト教えナイノ?」
部屋に戻ったあと、ポツリと呟かれた言葉を鎹鴉がひろう。
碧天の鎹鴉はアルビノだ。真っ白い体をして他の鴉に比べて体は小さい。
真っ白な羽を広げ、碧天の肩にとまれば心配そうに碧天の顔を覗き見る。
『教えてはダメ…記憶はね、自分で思い出さなきゃダメなんだよ…自分の心を守るために、これ以上壊れないようにするため今の無一郎が出来ているんだよ』
「ソッか…」
『そんな顔をしないで?私は無一郎が元気ならそれでいいし、それに…無一郎は無一郎なんだからどんな無一郎でも好きだよ?』
「ソレを本人に伝わレバネ」
鴉の容赦ない一言に、ぐうの音もでない。
痛いところをつくなと一睨みするも、
鴉の言ってることは核心をついてるので反論できない。
『…はぁ…それで?態々部屋に来たということはまた任務?』
「南南西、小サナ村、十二鬼月の可能性アリ…他柱…恋柱・甘露寺蜜璃と合同任務セヨ」
『蜜璃ちゃんとなんて久しいわ~』
「寝タラ駄目ダよ?」
『頑張る…』
鎹鴉に言われるままに、目的地へと足早に向かう。
向かってる途中で鎹鴉は若い女と子供を拐う
隊員も数名向かったが消息不明
と新たな情報を伝えた。
『どんな変態なのかしら?』
「貴女ホドデはナイカと」
『失礼ね!!私は無一郎君のみ変態化するのよ!!!』
「認めルンか…」
呆れた眼差しには気づかずに、スピードを上げ目的地へと到着すれば碧天ちゃーーーん!と大きな声で名前を呼ばれる。
手を思いっきり振り、ここだと合図する恋柱・甘露寺蜜璃。
「久しぶり!!元気だった???今日は碧天ちゃんと合同任務って聞いてとても胸がドキドキしてるの!!!会いたかったわー!!」
『蜜璃ちゃんも元気そうで何よりだよ、相変わらず可愛いね』
「(キャー!!!可愛い碧天ちゃんに、可愛いって言われたわ!!!嬉しいわ!!胸がドキドキしてはち切れそうだわ)」
『蜜璃ちゃん、早く行こ?』
「う、うん!!」