第9章 歪んだ愛情
先輩と別れた日から、毎日が幸せだ。
モノクロ世界に色がついたように。止まっていた時計の針が動き出したかのように。
今まで当たり前と思っていた生活がこんなにも幸せだったなんて…!
「じゃあねー、またあした!」
「うん!バイバイ!!」
友達に別れを告げ、帰路へとつく。
「はぁー、楽しかったなぁ…」
今まで友達と遊ぶ事さえ許されなかった。やっぱり、先輩と別れて良かった。
「…そういえば…。」
あの日から、先輩の姿を見ていない。
…私と別れたのが原因だろうか…。
「大丈夫、かな…?」
あんな最低なことをされてきた人を心配するなんて、やっぱり私はお人好しなのかもしれない。
その時、後ろから誰かに抱きしめられた。
「なっ…!だれ…んっ!!?」
後ろを振り返る前に、布で口を覆われる。
すると、猛烈な眠気に襲われた。
「っ……」
(誰か……たすけて……)
視界がぼやけ始め、ついに意識が途切れた。
「ふぅ…」
莉亜を襲った犯人が安堵の息を吐く。
「会いたかったよ…俺のプリンセス…」