第4章 誘拐するならあの人も
「どうした?…っとりあえず、これ取るか…」
裕貴が口に貼り付けられたテープをベリっと剥がす。
ようやく口が自由になり、まず大きく息を吸う。
「ス…ッ、ハァ…ッ、ハァ…ッ」
どんなに息を吸っても一向に良くなる気配がしない。
「…っ、裕貴…っ、縄…、解いて……っ」
途切れ途切れに言うと、裕貴に伝わったらしく、すぐさま縄を解き始める。
ようやく手足も自由となり、私を拘束するものが無くなると、椅子から立とうとしてバランスを崩し、地面へ倒れた。
「ちょ…っ、大丈夫…?」
心配して手を伸ばした裕貴の手を掴み、自分の頬に当てる。
「裕貴……助けて……」
裕貴の手はひんやりとしていて心地よかった。先程より熱が上がっている気がする。
「…どうすればいいんだ…?」
困惑している裕貴に、服を脱がせて欲しいと頼む。
暑いのだ。暑くて暑くて、どうにかなってしまいそう。
「え…っ、ダメでしょ…っ」
いつも男子と下ネタを語っている裕貴だが、自分がやるとなると内気になるようだ。
「お願い……マジで死ぬから……暑い……」
涙目で訴えると、裕貴は観念したようだ。
顔を真っ赤に染めて、そっぽを向きながら裾に手をかける。
少しずつさらけ出される肌。わずかだが最初よりは気が楽だ。
「あ……っ」
時折肌に触れる裕貴の指に、敏感に反応してしまう。触れられただけで電流が走るようだ。
「あのー…変な声出さないでくれる…?こっちまで変な気分になる…」
「ごめ……、ひあ…っ」
脇腹にチョンと指の先が触れ、またもや甘い声を出してしまう。