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〜宵の中、蜜に酔う〜 《短編集》R18

第4章 誘拐するならあの人も





「どうした?…っとりあえず、これ取るか…」


裕貴が口に貼り付けられたテープをベリっと剥がす。

ようやく口が自由になり、まず大きく息を吸う。


「ス…ッ、ハァ…ッ、ハァ…ッ」


どんなに息を吸っても一向に良くなる気配がしない。


「…っ、裕貴…っ、縄…、解いて……っ」


途切れ途切れに言うと、裕貴に伝わったらしく、すぐさま縄を解き始める。


ようやく手足も自由となり、私を拘束するものが無くなると、椅子から立とうとしてバランスを崩し、地面へ倒れた。


「ちょ…っ、大丈夫…?」



心配して手を伸ばした裕貴の手を掴み、自分の頬に当てる。

「裕貴……助けて……」



裕貴の手はひんやりとしていて心地よかった。先程より熱が上がっている気がする。


「…どうすればいいんだ…?」


困惑している裕貴に、服を脱がせて欲しいと頼む。

暑いのだ。暑くて暑くて、どうにかなってしまいそう。


「え…っ、ダメでしょ…っ」



いつも男子と下ネタを語っている裕貴だが、自分がやるとなると内気になるようだ。


「お願い……マジで死ぬから……暑い……」



涙目で訴えると、裕貴は観念したようだ。

顔を真っ赤に染めて、そっぽを向きながら裾に手をかける。


少しずつさらけ出される肌。わずかだが最初よりは気が楽だ。


「あ……っ」


時折肌に触れる裕貴の指に、敏感に反応してしまう。触れられただけで電流が走るようだ。


「あのー…変な声出さないでくれる…?こっちまで変な気分になる…」



「ごめ……、ひあ…っ」


脇腹にチョンと指の先が触れ、またもや甘い声を出してしまう。




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