第4章 誘拐するならあの人も
「えー?やだ。」
笑顔で答えると、男達の顔から生気が抜けていく。
「そ、そんな……」
「そもそも、こんな車、やろうと思えばいつでも逃げれたし。あんた達を潰して。そうしなかったの、なんでか分かる?」
「い、いえ……」
「私を犯すんでしょ?ねぇー、気持ちよくさせてくれるんでしょー?でもさ、ハジメテは好きな人がいいのよねー。そこにちょうど好きな人が現れたんだからさ、チャンスじゃん?」
「は、はぁ…。」
「だからさ?誘拐するならあの人もして。処女じゃなくなったらいくらでもするからさ。何Pでもいいよ?──してくれるよね?じゃないとパパに─」
「やります!やらせてください!」
「うん!契約成立ね!」
男達に、自分の身体を縄で縛ってもらう。そして、故意な誘拐と思われないように、男達にも自分を雑に扱うようにしてもらった。
そしてテープで口を塞いでもらう。
…準備は万端だ。
「あのー、道聞きたいんですけどー!」
私を誘拐した時と同じように、運転席に乗っている男が路を聞くふりをして裕貴を呼び寄せる。
「なんです───っ!?」
裕貴の口が男の手によって塞がれ、車の中に押し込められる。
「んっ、んーー!!」
塞がれた口で必死に声を出す。
「は…?莉亜……っ?」
私の声に気づいた裕貴が目を見開く。
塞がれた口で何かを言おうした瞬間──
「悪いが、ここからは企業秘密でな。」
目隠しをされて、どこか狭いところに入れられた。
「ん……っ」
雑に扱えとは言ったが、随分と雑に扱うものだ。何気に痛い。
ここはどこか。目隠しして何も見えない上に縛られて動けない。身をよじってみると、温かいものに肌が触れた。
その触れた何かが、身体を這い上がってくる。
そして柔らかいふたつの丘まで来ると、それが何の感触かを確かめるようにやんわりと揉みしだく。
「ふ……っ、んんっ…」
(手……!?)
初めて人に触られる感触がくすぐったくて、その手が伸びる方へ身体をぶつける。
「いた……っ、…莉亜…?」
「ふ。」
名前を呼ばれ返事をする。どうやら隣にいた相手は裕貴だったようだ。