第4章 誘拐するならあの人も
「ひ…っ、」
車を運転する男を睨みつけると、男は小さく悲鳴をあげ、顔を青くして裕貴らしき人が立っている道にハンドルを切った。
「おっ、おい!お前どこ行こうとしてるんだ!?」
「なにこの女の言うこと聞いてんだよ!!?」
男達が焦りぎゃあぎゃあ喚く。
「うるさいなぁ…、黙って。」
「くっ…この女…!」
男達は悔しそうな顔をするものの、私に手出しできず椅子に腰掛ける。
「あ!!やっぱり裕貴だ!!ねぇ、誘拐するならあの人もしてくれません?」
信号を待つ裕貴を指さして男達に言う。
「はぁっ!?これからお前を犯すってのに何が悲しくて男まで誘拐しなきゃ行けねぇんだ!!」
「えー?だって私、処女だし。」
「ほぉ?それはいい。なら俺らがお前をオトナにしてやるよ。」
「は?馬鹿?なんであんたらにハジメテあげなきゃならないの?好きな人にあげるって決めてるんだけど?」
一生に一度の経験をこんな男達に汚されてたまるか。
「おい…黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって…!立場をわきまえろ!」
「いやいや、それはこっちのセリフですよ〜」
怒りと不快で歪ませていた顔を、ニコリと笑わせる。
「私のパパ、知ってます?貴方達のように誘拐する人なら知ってると思ったのですが…。私のパパ、裏組織で知らない人はいませんよ?貴方達程度なんて、海に沈められちゃいますよ?」
男達の顔が一気に青ざめていく。
「なぁ…俺たち…ヤバいんじゃ…」
「殺される…?おい、今いくら持ってる?」
男達のリーダーと思われる男が、他の男達と自分の金をかき集めた、計100万を差し出し、謝り倒す。
「本当に申し訳ございません!!直ちに解放とお金を渡しますので…!命だけは……!」