第4章 誘拐するならあの人も
それは、真夏のある日。
「すみませーん!ちょっと道聞きたいんですけどー!」
30代位の男の人達が、ワゴン車に5人ほど乗っていて、運転席に乗ってるい人が下校中の私に声をかけてきた。
「あ、はい!どこですかね?……っん!?」
突然口を塞がれて、車の中に押し込められる。
「くくっ…、馬鹿だなぁ、簡単に捕まえられちゃったよ。」
「お嬢ちゃん。最近、学校で誘拐犯が近くに出てるって話、聞かなかった?」
男達はニタニタと笑っている。
そう言えば、学校で先生が誘拐だかなんちゃら言ってた気がする。
どうせ私には近づいてこないだろうし、関係ないと思ってた聞いていなかった。
…なんで近づいてこないかって?……実は私、ここらでは有名なマフィアの娘なのだ。
怖がられて避けられるのはごめんだから、学校や近所には内緒にしているけど、裏の業界でパパを知らない人はまず居ない。だから、自分達に手を出す輩はいないと思っていたからだ。
(こいつら……死にたいのかな?)
懐から、パパから貰った強力スタンガンをそっと取り出す。
これで気絶させたら、もうこの人達の意識が戻ることは無い。
何故って?意識が戻る前に、パパ達がきっと海に沈めちゃうから。
まぁその前に私がボコボコにするけど。
私、マフィアの娘だよ?そこらの女の子と一緒にされたら困る。幼いときから護身用の術を叩き込まれたんだから。
最後に言い残すことは、と言うように、彼らに目的を聞くことにした。
「私を、誘拐して、どうするんですか?」
男たちは、下品に笑い、答えた。
「俺達はよぉ、性に飢えてるんだ。そこにお嬢ちゃんみたいな可愛い子が現れたらよ、捕まえてヤるしかねぇだろ?」
「………………」
なるほど。今から私は犯される予定らしい。
これは重罪だ。どうしてやろうか。
「……あ」
窓の隅に、裕貴の姿が見えた気がした。
「あのー、すみません、ちょっとそこにいる男の子の顔見たいんですけど…」
「はっ?ダメに決まってんだろ!てかなんでお前誘拐されてんのにそんな落ち着いてんだよ!」
「…あ?いいからさっさとやれよ。」