第20章 一線・倉持※裏
唇を離すと、トロンとした顔で俺を見上げていた。
「…っ///」
ヤバイ。またがっつき過ぎだ。
「…大丈夫か?」
「う…うん。。。」
ゆっくり真琴の身体を離す。
「俺、家戻って風呂入るわ。」
「うん…そうだね…じゃ、私も。」
くるりと俺に背中を向ける真琴を今度は後ろから優しく抱き締める。
「洋一?」
「夜は俺の部屋来るよな?」
「えっ。。。」
真琴の身体から緊張が伝わる。
「約束…決勝戦の前に…空き教室で言ったことーーー」
初めて真琴に触れて歯止めが効かなくなりそうになったあの日。
ーーー勝ったら、今の続きするから覚悟しとけよーーー
「忘れたとは言わせねぇーからな。」
真琴が抱き締めてる俺の腕にそっと触れる。
「うん…あとで行くから…」
その言葉を聞いて、俺は真琴の頭にポンと触れてから離れた。
「ちゃんと戸締まりしてから来いよ~」
「わっ、わかってるよ!」
そう振り返る真琴の顔を見てから部屋を出る。
玄関でサンダルを履いてると遅れて真琴が追いかけてきた。
「んじゃ、後でな。」
「うん。。。」
俺は玄関を出て閉じたドアから真琴が鍵を閉めた音を確認してから自宅に戻った。
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実家の狭い風呂だけど、久々にゆっくり一人で入った。
誰もいない家に一人。
いつも誰かがいる賑やかな寮生活。
逆になんだか落ち着かない。
自分の部屋のベッドに横になり、チラッと時計を見る。
真琴は…本当に来るだろうか。。。
がっつき過ぎたどころか、今夜ヤル宣言。
確かにそのつもりで親がいないのがわかってても帰ってきた。
でも…真琴は?
アイツはまだそんなつもりないのかも。。。
「あーっ!くそ!」
考えてても仕方ねぇ。真琴が来なかったら…それはそれでいいか。。。
なんて思ってたら、「よーいちー」と呼ぶ声と共に階段を上がる足音。
えっ。。。
コンコンーーー
「開けるよ~」
と、ほぼ同時にドアが開く。