第13章 お願い・小湊亮介
卒業まで残り2週間ーー
2月に入り、自由登校になり学校にきてる3年生はほとんどいない。
俺は推薦でもう大学は決まっているから、野球部に顔を出したり、図書室に来て本を読んだりしている。
まぁ…一番の理由は。。。
「先輩!」
図書室のドアが開くのと同時に俺を呼ぶ声。
「真琴…図書室は静かに。」
「はーい。」
「って、毎回同じこと言ってるよね?」
「だって…先輩がいると嬉しくて♪」
嬉しそうに真琴は俺の隣に座る。
「いい加減、慣れたら?」
「慣れないよ。。。」
真琴は視線を落として呟いた。
「慣れるわけないよ。。。だって、もう少ししたら…先輩は卒業しちゃう。。。」
「真琴。。。」
わかっていることだ。
だから、俺だって…こうやって学校に来てる。
「大丈夫ですよ!仕方ないことだし…だから今、学校で先輩と会えるのが嬉しいんです!」
無理に笑う彼女に俺は何をしてあげられるのだろう?
「じゃあ、その敬語はいつまで続くの?」
「えっ///」
「もう付き合ってだいぶ経つよ?卒業したら‘先輩’も卒業してくれるの?」
「えっと…それは…///」
シドロモドロになる真琴に思わず笑いそうになる。
「卒業したら、先輩じゃなくなるし、名前で読んでもらおうかな?」
「~~っ///」
そう…俺がしてあげれるのはこのくらい。
卒業して学校で会えなくても、俺たちは別れるわけじゃないんだよ。
「…っ///あの、先輩!」
「ん?」
「…先輩にお願いがあるんですけど。。。」
「何?とりあえず言ってみなよ?」
真琴がお願いなんて珍しい。
「えっと…あの…先輩のジャージが欲しい…です///」
「えっ?ジャージ?なんの?」
「学校の…」
「学校のって…体育の?」
「はい…」
今にも消え入りそうな声の彼女。
「別にいいけど?どうするの?」
真琴の顔が一気に紅くなる。
「真琴…?」
「…着ます///」
「えっ?着る?」
確かにサイズ的にはそんなに変わらないけど。。。
「先輩が卒業しても…一緒にいれる気がするから。。。」
そう言って真琴は机に伏せた。
「あ~~もうっ!なんか私、変態みたい!!」