第9章 小湊亮介の場合

「真琴は…俺が好きでもない奴にこんなことすると思うの？」

「えっ…？」

「ここまでしてもわかんない？」

真琴が首を傾ける。

「はぁ～。俺は…真琴があの１年と一緒にいるのが気に入らなかっただけだよ。」

「えぇー！？」

やれやれ…そんな驚くこと？

「だから…ちょっと、真琴に意地悪のつもりがさ～」

「いっ…意地悪…？」

「そっ。」

「いっ…意地悪って…もう！私がどんな気持ちだったかーー」

「わかったよ。」

俺は真琴の言葉を遮った。

「だから、今こうしてる。」

真琴の頭をポンポンと撫でる。

「真琴はなんでそんなに傷付いてたの？」

「……っ、それは…///」

「俺のこと好きってことでいいんだよね？」

「えっ…いやっ…そのっ…」

この期に及んでまだはっきり言わない。

「素直に言えるようにまたキス…しようか？」

「えっ///」

真琴の顔に近付くーー

「だっ…だっ大丈夫です！言います！！」

クス…

「好きです…///小湊先輩のことが…///」

「はい。良くできました。」

「くぅ～っ…///」

「おいで？」

俺は立ち上がり両腕を広げる。

「でも…先輩は？」

「えっ？」

「小湊先輩は…ちゃんと…言ってくれないんですか…？」

上目遣いで見てくる真琴に思わず動揺し、緩む口許を手で覆い隠す。

「さっきも言ったでしょ？好きでもない奴にあんなことしないって…」

ふぅ～っと息を吐きーーー

「真琴が好きだよ。」

次の瞬間、真琴が胸に飛び込んできた。

「もう…先輩わかりづらいです！」

「クス…真琴が鈍感なんだよ。」

真琴をフワリと抱き締める。

「あと、それから…もう部活の時間だよ。キャプテン？」

「えぇーっ！？もうそんな時間！？」

真琴は慌てて俺から離れる。

「あっ…えっと…どうしよ…」

「クス…俺はいいから。早く行っておいで…終わるまで図書室で待ってるから。」

「はい！」

今日一番の真琴の笑顔を見送ったーー


残りの学校生活…楽しくなりそうだね。

真琴と一緒なら。。。