第8章 伊佐敷純の場合
トン…と背中に温もりを感じた。
ビックリして下を見ると、背中から回された細い手。。。
「これでも…まだわかりませんか?」
か細い声で真琴が話すーー
「伊佐敷先輩が好きです。」
えっーー
「私が一緒にいたいと思うのは…先輩です。」
真琴が俺を好き?
哲じゃなく?
俺は勢いよく振り向き、真琴から少し距離を開け向かい合う。
「だって!お前ーー」
いい掛けたとこで、真琴の顔が目に入る。
顔を真っ赤にして、少し困ったような…すごく恥ずかしそうな…
今まで見たことない表情に不謹慎にも可愛いと思ってしまったのと同時に、俺を好きだと言ってくれた真琴が本気なんだと気付かされた。
「もう…いいや。」
俺はそう呟くと、真琴をそっと抱き締めた。
「…っ///せっ…先輩?」
「俺も真琴が好きだ。誰にも渡したくねぇ…」
遠慮がちに俺の背中に真琴の手が回り、確かめるようにギュッと俺の服を掴む。
どれだけ抱き締めていただろうか。
「てか、俺…一人で勘違いしてカッコ悪。。。」
「ホントですよ…」
真琴がクスっと笑う。
「だっ///だって、お前いつも哲の前で顔真っ赤にしてんだろ!」
「なんか…結城先輩って、尊敬するってゆうか…頭ポンポンされるのも緊張するし…」
「同じ先輩なのに俺と態度が違うじゃねーかよ?」
「それは…」
真琴は俺の胸に顔を埋めると小さな声でーー
「伊佐敷先輩の隣は落ち着くんです。。。」
「なっ///なんだよ、それ////」
まっ、いっか。。。
今こうして俺を選んでくれて、好きだと言ってくれてるんだ。
「あ~ぁ。マンガみたくはいかねぇな。」
ボソッと呟いた言葉に真琴が顔をあげる。
「何がですか?」
わっ///その顔、反則///
俺は真琴から顔を反らした。
「その…告白は男からしたかったよな。。。」
真琴は一瞬キョトンとしてから、ふわっと笑った。
「どんなマンガの理想の告白なんかより、今こうして先輩といることが…私には最高の告白で、これから先輩と一緒にいるだけで最高の物語になります!」
「そうだな。。。」
そう言って、もう一度真琴を強く抱き締めた。