第1章 出逢い
そう言うと「何?!」と伊佐敷先輩が倉持にヘッドロックを掛けた。
「ちょっ!御幸、お前、何言ってんだよ!マジ、先輩、痛いッス!!違います!ただの幼馴染みです!!」
「幼馴染みだぁ?そんなの知るかっゴラァ!!」
「ちょ、マジ痛いッス!!」
「で、ホントはどうなの?川上?」
ニコニコしながら聞くのは小湊先輩。この人笑ってるけどなんか怖い。
「あっ、はい。俺は同じクラスで…倉持は本当に幼馴染みだそうです。」
「だ、そうだ。純、放してやれ。」
結城先輩のお陰で倉持はヘッドロックの痛みから解放された。
「御幸~てめぇ、覚えてろよ。」
『はっはっは♪』
お前があの子と知り合いの時点でなんだか気に入らなかったんだから。ざまぁみろ(笑)
「てか、どの子だ?」
伊佐敷先輩が倉持に聞く。
「今、打席にいるヤツです。」
「へぇ~、可愛いんじゃね?」
そうこう話してるうちに、またバットから快音が響いた。
おっ?!タイミングもいいんじゃね?
「「「おぉ!?」」」
先輩たちも思わず声が出る。
打球はぐんぐん伸びて行く。
「ヒャハ♪入った!!」
まさかの助っ人がホームラン。
ホームに帰るとみんなに祝福されている。
ニコニコ笑って楽しそう。
帽子を取り、倉持の方を見て笑顔でピースサイン。
(「「『かっ…可愛い!』」」)
みんながそう心で思った。
伊佐敷先輩がまた倉持の首に腕を掛けた。
「お前の幼馴染みスゲェじゃん。」
「はぁ…今はバスケ部なんすけど、小学校まで俺と野球やってたんで。」
ゴゴゴゴゴ~
1人燃えている男がいる。
だが、俺も川上も突っ込めない。
「哲、何燃えてるの?相手は女の子だよ。それにソフトボールだしね。」
「む。だが、俺も早くバットを振りたくなった。」
「そうだね。もう行かないと練習始まるしね。」
そう言って小湊先輩と結城先輩はグランドに向かって歩き出した。
「倉持!今日の夜部屋で詳しく聞くからな!ごらぁ!お前らも練習行くぞ!!」
そう言って伊佐敷先輩も練習に向かう。
「詳しくって…何をだよ…」
ため息混じりの倉持と俺たちも練習に向かう。
はっはっは♪俺も夜部屋行こう♪