第7章 倉持洋一の場合
一瞬…泣き虫だった頃の真琴の姿が重なる。
そして…無意識に真琴を抱き締めていた。
「俺なんかで…いいのかよ。。。」
「洋ちゃんがいいの…洋ちゃんの側がーー」
あぁ…俺も今頃解った。
合宿中、寮に真琴がいるのが気に入らなかったのは御幸や沢村、亮さんたちの隣で笑ってる真琴を見るのが嫌だったんだーー
ガキの頃…真琴に泣くなって言ったのも、男勝りな性格に変えたのも、他のヤツに真琴を取られないように…俺の側にいさせる為だったんだーー
高校に入って、真琴が告白されても断ってるし…俺の隣にいて真琴が笑ってる…それが当たり前だと思ってたんだ。
だって、俺…物心ついた頃から真琴を守るって決めてたんだ。
「俺さ…」
真琴を抱き締めたまま話す。
「物心ついた頃から真琴は女の子だから…優しくしろとか、守ってやれとか言われてたからよ。ずっと一緒にいるのが当たり前だと思ってたーー」
真琴を離して目を見て話す。
「だから…俺も!お前が他の誰かの隣で笑ってるなんて見たくねぇんだよ。」
真琴の顔がみるみる赤くなる。
「だから…その…あぁ~あれだ!」
今の俺も同じような顔してるはず。
「俺も…好きだ。たぶん…ガキの頃からずっと。」
真っ直ぐ真琴を見つめる。
真琴は一瞬…驚いた様子だったけど、ふわりと笑ったーー
かと、思うとポロポロと涙を流した。
「…っく…私っ…本当は…小さい時の…っ…弱いままなんだよ…ヒック…洋ちゃんの側にいたから…いたかったから…頑張れたのぉ。。。」
そう言うと…真琴は俺の胸に飛び込んできた。
「解ったって…」
ガキの頃みたいに泣く真琴を抱き締め…頭を撫でる。
「もう…そんな無理しなくても側にいる。これからも…ずっと俺が守ってやるから。」
真琴の手が俺の背中に回りユニフォームをギュッと掴む。
「あぁ~!だからっ!もう泣くなって!!」
「だって~~///」
真琴が涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げる。
「ヒャハ♪ひっでぇ顔!」
「もう!バカっ!!」
「ヒャハハ♪」
「ふふふっ」
二人…おでこをくっつけて笑い合う。