第7章 倉持洋一の場合
「いい!そんなの待ってねぇで、俺が連れてく!」
そう言って俺は真琴を抱き上げる。
「でも!倉持、部活ーー」
「御幸、大丈夫だろ?」
「あっ…あぁ。監督には俺が言っとく。」
「じゃ、頼むな。」
「おう!」
御幸にそう告げると俺は真琴を抱えたまま歩き出した。
「ちょ…洋一、大丈夫だから…恥ず…かしいし…」
弱々しい声と力で抵抗する。
「フラフラしながら走って、倒れたんだぞ!大丈夫なわけねーだろ!?」
「……っ、でも…」
「てか、いいから黙って大人しく運ばれてろ。」
「……///う…ん…ごめ…ん…」
そう呟くと真琴は目を閉じた。
そして俺に掴まってた両腕にギュッと力を込めて、首にしがみつきーー
「洋ちゃ…ん…」
「……///」
それからは二人とも黙ったまま保健室に向かった。
真琴を抱えたまま保健室に着いて中に入る。
「失礼しまーす…って誰もいねぇのか。」
とりあえず、そのまま真琴をベッドまで運びそっと降ろす。
真琴は眠ってしまったのか、あれから話すこともなかった。
こんなに軽くて細かったんだな。。。
そっと真琴の頭を撫でて、部活に戻ろうとした時ーーー
「行かないで。。。」
寝てたはずの真琴が泣きそうな顔で俺を見ていた。
「なっ…///なんだよ!あ~あれか!ヒャハ♪お前ガキの頃から具合悪くとかなると心細くなって、よく泣いてたよな!」
咄嗟にそんなこと言った俺の手を真琴がそっと掴む。
「…違う。そんなんじゃないよ。。。」
「えっ…?」
「…洋ちゃんにいてほしい。。。」
「だからーー」
「洋ちゃんの側にいれたら…幼馴染みでも…それでいいと思ってた…」
真琴はゆっくり起き上がり、ベッドで小さく丸くなる。
「でも…気付いちゃったの…洋ちゃんの隣で笑ってるのが他の誰かなんて…嫌なの。。。」
えっーーー
一瞬…真琴が何を言ってるのが解らなかった。
「こんなこと言ったら…もう…今までみたくは側にいられないのは解ってる…けど…」
真琴が今にも泣き出しそうな顔で俺を真っ直ぐに見るーー
「洋ちゃんのことが…好きなの。。。たぶん…ずっと前から…小さい頃から…ずっとーー」