第5章 夏合宿
真琴side
只今、夜中の2時。
伊佐敷先輩に借りた本を読んでいたら、そのまま寝てしまったらしい。
ふと目が覚めたものの…トイレに行きたい私。
だって!寝落ちしちゃって消灯前にトイレ行ってないんだもん。。。
「ねぇ、幸子~」
一緒の部屋の幸子に声をかけ揺すってみた。
「ん、ん~~。」
うるさいと言わんばかりに寝返りを打ち背を向け、規則正しい寝息が聞こえる。
ダメだ…起きない。
どうしよ…でもトイレ行かないと眠れないし。
「うぅ~~。。。」
私は恐る恐るドアを開けて廊下を見る。
蛍光灯の灯りがあるけど薄暗い。
「よ…よし、大丈夫。行ってこよう!」
小湊亮介side
やたら暑く喉が乾いて目が覚めたけど水がないのに気付いた。
夜中だけど外の自販機に行こうと静かに部屋を出る。
廊下に出ると前方に人影。
夏ならではのアレかと思ったが、よく見なくてもわかる後ろ姿。
いつもの青心寮にいるはずのない女の子。真琴だーー
見るからに怯えながら、ゆっくりな足取り。
クス…お化け屋敷であれだけ怖がってたんだ。きっと今も怖いんだろうね。
俺はそっと真琴に追い付き、そっと肩に手を置く。
「ひっ!!…ぃやぁーーむぐーー」
予想通り叫びそうになった真琴の口を後ろから手で塞ぐ。
「んーー!んーー!!」
バタバタと暴れる真琴の耳元で静かに話し掛ける。
「シーっ!真琴、俺だよ。」
「んーー!ん?」
真琴が目だけですぐ後ろにいる俺を確認する。
真琴が落ち着いたのを確認してから、口から手を離した。
「ぷはぁ…小湊先輩!?」
「シーッ!何時だと思ってるの?静かにね。」
「はい…すみません…って小湊先輩のせいじゃないですか!」
「いいから。こんな時間に何やってるの?誰かの部屋に夜這いでも?」
「なっ///何言ってるんですか?!」
「わかったから静かに!」
軽く頭にチョップする。
「すみません…」
真琴は頭を擦る。
「先輩はどうしたんですか?」
「喉が乾いて目が覚めたけど、飲み物がなくて仕方なく自販機までね。」
「ホントですか?あの…一緒に行ってもいいですか?」
「何?どこ行くの?」