第5章 夏合宿
伊佐敷side
コンコン…
寮にいて、こんな控え目なノック…いや!ノックすらするヤツなんていねぇからすぐわかる。。。
「おう…開いてるぜ。」
返事をすると遠慮がちにドアが開き、ひょっこりと顔を出す。
「伊佐敷先輩。今、大丈夫ですか?」
「真琴か…」
真琴かってホントはわかってるくせに(笑)
「昨日、借りた本もう読んじゃいました♪」
えへっと笑う。
普段サバサバした感じなのに、こうゆうとこ可愛いんだよな。ギャップってやつか?
「続き持ってっていいぜ。」
「ありがとうございます!お邪魔しまーす。」
真琴は本棚の前に座り、借りてた本をしまい続きを何冊か取り出す。
合宿が始まってすぐにたまたま他のヤツらと部屋に来た時に本棚の少女漫画を見つけ意気投合。今に至る。
「先輩は何読んでるんですか?」
真琴がくるりと振り向き俺の本を覗き込む。
「真琴が今読んでるやつの新刊♪」
「うわ!もう出たんですか?…あの~先輩?」
「ん?何だ?」
「続き…ここで読んでもいいですか?」
「えっ!?」
咄嗟に思ったより大きな声が出てしまった。
「あっ…すみません。迷惑ですよね?いや…先輩が読み終わったらすぐ読みたいな~なんて…」
「あっ…いや!全然、迷惑じゃ…読んでっていいぜ…」
「ありがとうございます!」
真琴は嬉しそうに笑うと本をパラパラとめくり読み始めた。
落ち着かない俺はたまに真琴を盗み見る。
真剣に読んでるかと思えば、口元が緩んだり、難しそうな顔をしたり、泣きそうになったり…忙しいヤツ(笑)
フッと笑いそうになるのを堪えて、俺も早く読まねぇと真琴が読み終わった時に貸してやれぇな。
あっ…今貸せなかったら、明日も来るかもしれないよな…
なんて考えた俺。
そうとうヤバイかな(笑)