第5章 夏合宿
「?…いや、マネージャーたちが真琴探してるんだけど、知らない?」
「えっ?真琴ならーー」
なんかいい言い訳も見つからないでいると…
「う~ん…あれ?」
真琴が起きた。
「えっ?真琴?」
御幸がビックリしてベッドを見る。
真琴も目を擦りながら俺と御幸を交互に見た。
「あれ?私、寝てた?」
御幸を見ると少し動揺してる。
「ほっ、ほら!辞書取りに来たんだろ?」
俺は動揺がバレないように、素っ気なく辞書を出した。
「だって洋一、借りたくせに返してくれないんだもん。」
いつもの呼び方。いつもの真琴だった。
「真琴、男の部屋で寝てたら何されるかわかんないからダメだよ?」
「御幸、お前と一緒にするな!お前が一番危険だろ!」
「はっはっは♪」
「じゃ、私部屋に戻るね。」
真琴はベッドから立ち上がり枕を戻した。
「んじゃ、俺も一緒に部屋戻ろっと。じゃぁな。」
「御幸くんはもういいの?」
「うん。真琴を探してただけだから。」
「私?」
「マネージャーたちが探してたよ。」
「そっか、ありがとう。じゃ、洋一また明日ね。おやすみ♪」
「あぁ。じゃーな。」
二人が出て行きドアが閉まるのを確認して俺は大きな溜め息を付く。
「はぁ~なんだったんだ。」
そのままベッドに倒れ込む。
「ん!?」
微かに残る甘い匂い。
こんな匂い俺のベッドからするわけがない…
きっと真琴の匂いだ。
急にさっきまで寝ていた姿が頭に浮かび、俺は一人顔を赤くしていた///
今日の俺、大丈夫か?
なんだこの気持ちは…俺、今日寝れるかな?
ーーーーーーーーーーーー
真琴side
沢村くんにどうぞって言われたけど…何して待ってたらいいんだろ?
ふとベッドに目をやると、プロレスの雑誌やゲームが置いてある。
「きっと、ここ洋一のベッドだ。」
ベッドにある漫画に目が止まる。
「懐かし~いつも借りてた本だ!」
私はベッドに上がって漫画を読み始めた。
「う~ん…」
コロンとベッドに横なると、ふと霞める懐かしい香り。
「ん…懐かしい…洋一の匂い。。。お日様の匂い…変わらないなぁ。。。」
すごく安心する…
そのまま私は意識を手放した。