第1章 出逢い
あの泣いてた子を見た日から1週間。
最初のうちはなんとなく目で探していたけど、俺あんまり教室出ないし?笑
こんな広い学校1年だけでも結構いるし、諦めて忘れかけてた。
日曜日もちろん今日も朝から野球の練習。
午前の練習が終わり、昼飯食べに寮へ戻る途中ーー
一緒に歩いてた川上がグランドを見ながら言った。
「あれ?なぁ…倉持、あれ真琴じゃない?」
そう言って試合中の女子のソフトボールを指差した。
「ヒャハ♪マジだ!アイツ、マジで試合出てんじゃん!」
倉持が足を止めて、グランドの近くまで寄ってった。
『何?何?可愛い子でもいんの?』
俺が倉持と川上の間から顔を出した。
「可愛いってゆーかさ、同じクラスの子なんだよ。あの次のバッターの子。」
川上が指を差す先に目をやると…
えっ?あの子…
この1週間密かに探してたバスケ部の子。
『えっ?あの子って…』
「ヒャハハ~♪真琴!空振りすんなよー!!」
倉持が真琴って呼ぶその子は、こっちに気付いた。
真琴って言うんだ。。。
『倉持が女の子に友達なんて珍しくね?男の友達もいねーのに。』
「あぁ!?御幸おめぇには言われたくねーよ!」
『はっはっは♪ありがとう♪』
「だから、誉めてねーし!」
そんなことより俺はお前とあの子の関係が知りてぇんだよ。
「御幸はクラス違うから知らないか~倉持の幼馴染みなんだってさ。」
へっ!?幼馴染み?
あの子と倉持が?
当の倉持は「ヒャハ♪」と笑いながら試合を見ている。
試合ってゆーよりは、その…真琴って子を。
川上の話によると、倉持とあの子は母親同士が親友で家も隣、誕生日も10日違いで、ずっと一緒に育った幼馴染みらしい。
「てか、兄弟みたいな?もちろん俺が兄貴な!」
倉持の言葉はスルーして川上に聞く。
『でも、あの子…バスケ部じゃなかった?』
「そうだけど…御幸なんで知ってんの?」
『あっ…あぁ~先週バスケのユニフォーム着てるの見たような。』
俺は泣いてたとこを見たのは言わなかった。
「うん。バスケ部なんだけど、小学校まで倉持と一緒に少年野球やってたんだって。」
『えっ?野球?』
「そっ。中学校は野球部に入れなくて、それでバスケ始めたんだって。」
『へぇ…』