第1章 出逢い
女の涙は嫌いだ。
なんか卑怯だし、嘘くさく感じる。
でも…あの日の君の涙は。。。
まだ俺が1年でジメジメした梅雨も終わり、初夏の陽射しが降り注ぐ頃ーーー
休みの日も朝から野球の練習に明け暮れていた。
俺は練習の合間に体育館裏の水道で汗だくの顔を洗っていた。
『あっちー』
そう呟いて、練習に戻ろうとした時ーーー
ふと見た木陰に人がいるのに気が付いた。
…?ユニフォーム…バスケ部か。
そういや、今日試合あるんだっけ。
今の時期、運動部は新人戦の大会が多い。
バスケ部のユニフォームを着た女の子がなんだか気になって見てしまった。
悔しそうな感じ?
負けたんだろうなぁ~。
その時、悔しそうに青い空を見上げて一筋の涙が頬を伝う。。。
それが不謹慎にもキレイだと思った。
彼女はタオルで顔を拭くとパン!と両手で頬を叩いてまた体育館の方へ戻って行った。
正直、いつも甲子園出場を懸けてる大会に出てる俺にはたかが新人戦で?まだ3年もあるっしょ?って思ったけど。
なんだか彼女の涙が気になった。