第1章 kaho様リクエスト
「グリムジョー様、藍染様より十刃の召集が掛かりました。ご準備をお願いします。」
「はァ?またかよめんどくせェ…。」
私は十刃であるグリムジョー様の従属官だ。まだ私がヴァストローデ級の虚だった頃、同じ虚に共食いされそうになった時彼の気まぐれで助けられた事が有り以降、破面となったその日から彼に従者になりたいとずっと願っていた。それも遂に叶い、こうして今もグリムジョー様のお傍に居る。
気だるそうに後頭部を掻き大きな溜息を吐き出してソファから立ち上がった。私は彼の一歩後ろに着き、何も無い廊下を歩く。
「一々集めなくても良いってのに…呼ぶなら現世に行かせろっての。ンな場所で時間潰してても何も面白くねー。」
「仰る通りです。そもそも死神がこの虚圏を支配するというのがおかしな話。私はグリムジョー様が治める虚圏を見てみたいです。」
「…ッハ、当たりめェだ。いつか絶対に殺してやるよ。藍染も、市丸も、東仙もな。最強はこの俺だ。」
強気に笑う彼が好き。自信に満ち溢れた姿が大好きだ。敬愛する十刃の従属官になれて、私はなんと幸福なのだろう。そう思っていた。
ほんの数ヶ月前までは。
会合部屋に着いたが、そこに入れるのは十刃だけだ。私達従属官は中へは入れない。大きく真っ白な扉の外で彼らが戻って来るのを待つ。中には彼らの居ない間に室内の清掃等に回ることも有るが私、テスラくん、スンスンちゃん達は基本的に十刃の元を離れることが無い。
そしてこのメンバーで集まると大概、お互いの主自慢が始まる。
「今日もハリベル様はお美しいだろ?あの褐色色の肌…綺麗な金髪……お前らむさい男どもとは大違いだ。」
「酷いです、アパッチちゃん!た、確かにハリベル様は美しいけど、グリムジョー様はかっこいいし実は優しいんですよっ!」
「ノイトラ様の方が強くて凛々しいだろう。髪だって漆の様に美しい。ノイトラ様こそ完璧だ!」
「男が男にそれを言うと些か気色が悪いですわ。」
スンスンちゃんは口元に袖をあて眉を顰める。毒舌な彼女にテスラくんは不満の色を示したが全く相手にされていなかった。
軈て会合が終わり大きな扉が音を立ててゆっくりと開く。私達はそれぞれ頭を下げ己の主を迎える。
「お疲れ様でした、グリムジョー様。お部屋へ戻られますか?」
「ったりめーだ。行くぞ。」
「かしこまりました。」