第2章 ◆大切な人(膝丸)
膝丸さんは胸を堪能しながら、私の首筋に顔を埋めて肌を吸い始める。
跡がついてしまう、と思いはしても、吸われた瞬間の吸血されたような背徳感が心地よくて抗えない。
かろうじて首の根元、着物でぎりぎり隠れる場所を赤くしていくが、抵抗せずにいると結局それが何ヵ所にも及んだ。
「だめです、そんなにしたら…」
「主は酷くするとすぐに壊れてしまうだろう。だが俺の跡で埋め尽くすことは痛みなくできる。…いいだろう?」
「………酷くても、いいです」
さっき乱暴にされたときの胸の高鳴りを思い出し、私はそんなことを言ってみた。
膝丸さんは目の色を変え、かすかに震える。
「主っ…」
彼は唇を、真っ赤になった私の首元から、肩、腕を伝って手のひらまで移動させる。
すると膝丸さんはその薄い唇で、私の指を一本ずつ口の中に含み始めたのだ。
─ちゅぱ…─
「…ぁ…」
ぬるりとした彼の口内の感覚が指先から伝わってくる。
人差し指から小指まで丁寧に舐め、最後に親指をふやかすように舐めている。
五本の指すべて終えると、私の手を開かせて、指先から股へと舌を這わせ、山、谷、山、谷と念入りに移動していく。
指というのは本当に敏感なもので、彼の舌が動くたびに体が硬直する。