第1章 ◆若返り(三日月宗近)
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衣服を整えた二人は、まだ布団の中で寄り添っていた。
手の指を絡めて繋ぎ、初々しい恋人のようなそれに三日月は若返った気分になる。
「…三日月さん」
「うん?」
「お見合いの、ことなんですが…」
「もう一度鳴かされたいか?」
「いえっ、そうじゃなくて…。私やっぱり、お見合いには行きません。皆さんの負担を減らしたい気持ちはありますが…きっと、お見合いをしても、三日月さんのことで頭がいっぱいで上の空だと思います」
何を当たり前なことを、と三日月は思ったが、何事も真剣に考えて結論を出そうとする彼女を愛しくも思った。
「……なあ主。俺を近侍にしてはくれぬか」
「え?」
繋いでいる手を唇に持っていき、そこに口づけながら彼は言った。
「でも…三日月さん、自分は向いてないからって言ってたのに…」
「それはあれだ、俺も摘んではならぬ花を四六時中眺めているのはつらかろうと思うてな。…だがもう、摘んでしまったのだから良いだろう? そばにおいておくれ」
「…三日月さん…」
「あまり無理ばかりするな。俺の大切な主なのだから」
◆「若返り」完◆