第8章 すれ違い
「捕まるくらいならエルヴィンと死にたいよ…」
彼女はそう言って、私にナイフの刃先を向けた。そして、
「いくよっ…」
そう言って私をめがけて走ってきた。
私は驚いた。まさか、貴族が私の首を狙うとは…
だが、君の身体能力は低い。日頃何をしているのだろうか…
私は避けた。
「ねえ!避けないでよ!?早く死んで!!」
彼女は息を荒らげてナイフを振り回してこちらへ来る。
人とは思えない動きをしている。今にも死にそうである。私を殺して彼女は何を得られる?私はまだやることが山程ある…
「私はまだ死ねない…やるべき事がある。だから、死ぬならイェレナ、お前だけ死んでくれ。」私は強めに言った。
「何よ!調査兵団のあなた達に人生を狂わされたんだよ!?こっちの身にもなれよ!この金取り泥棒!!」
もう、彼女は目の焦点があっていない。
このままでは私の部屋が壊れてしまう。
(女性の体に傷を負わせることはしたくないが、これはしょうがない。抵抗しないと私がやられてしまう…)
そう思い、彼女の動くスピードを読み取る。…意外と単純な動きであった。
彼女にナイフを突きつけられた瞬間、私はしゃがみ、彼女の背後に回った。そして、首をトンっと叩いた。
すると、彼女は気絶をした。バタリと倒れた。ナイフは音を立てて床に転がり落ちた。(果物ナイフ…か。)
転がり落ちた彼女とナイフを抱えて私は署の方へ連絡した。
前回の件もあり、処罰もすぐに決まるらしい。
あとの事は署に任せよう…
(はぁ…彼女はしばらく署から出られないようだな。
人は何かに溺れて生きている。酒だったり、女だったり、ましてや薬だったり…その夢中になっている物がなくなった時、人はどうなるだろうか…)
私は未処理の仕事を片付けていく…
「ー…やっと厄介事が終わった。少し休憩にしようか…おっと、リヴァイにこの資料を渡さなければならなかったんだ。すっかり忘れていた。」私は、リヴァイの部屋に資料を渡しに行った。
コンコン「リヴァイ、この資料にサインしてくれ。」
(シンとしているな…居ないのか?では、机に置いておく…ん?
寝ているのか?リヴァイ…!?)
…
私はリヴァイの部屋のベットに視線を移した。
そこには、にょほんがすやすや寝ていたのだ。
私は驚いた。(…私がいない間に何が起こっているのだ…?)
